愛宕神社総本宮への道
愛宕信仰と言われる、鯖街道沿いの火祭り松上げを数年がかりで撮影してきましたが、肝心の愛宕神社総本宮(京都市右京区)に参拝したことがありませんでした。
いつかは登りたいと考えていたのですが、標高924メートルという数字に、正直迷うものがありました。
近年、茨城県の筑波山(870メートル)などに登ったこともあり、今回京都を訪れたついでに、愛宕山登山を決行したのです。
東山の将軍塚から西方向を見ると、中央に見える頂上が丸く盛り上がっているのが愛宕山です。
鯖街道と松上げと愛宕信仰
愛宕山登山の話の前に、愛宕信仰についてざっくりと触れておきます。
(以下は、私Takataroの個人的感想であり、学術的な内容ではないのでご注意ください)
地図の中心部が京都市街地です。
その左に、愛宕山があります。
右側は比叡山です、
赤い線は、鯖街道と言われる道です。
鯖街道は塩街道とも呼ばれます。
奈良時代に太宝律令(701年)で、若狭(今の小浜市周辺)は、朝廷に塩を納めることになり、若狭から奈良まで塩を運んだ道です。
この鯖街道、京都から日本海に向かって投網(とあみ=魚を捕る網)を投げた時のような形で広がっています。
その網の目のような道の中で、若狭街道というのが一番有名です。
小浜から滋賀県に抜けて、滋賀県大津市まで行き、京都に入る道ですが、比較的平坦な道であり、牛車や馬車などで大量に荷物が運べました。
この若狭街道は遠回りなので、歩いて京都に荷物を運んだ人たちは、根来峠の針畑越えから鞍馬街道を通って京都に最短距離で通ったのです。
そして、京都の嵐山に抜ける道が周山街道です。現在は、北山杉で有名ですが、嵐山⇨美山⇨小浜と現在でも利用されている道です。
鯖街道に残る火祭り_松上げ
これまでこのブログで、松上げという火祭りをご紹介してきました。
毎年8月下旬に京都と福井県小浜市の各地で行われる愛宕信仰の行事です。
このエリアに古代のロマンが凝縮されていると私は感じるのです。
松上げ=愛宕神社の神様を信仰する火祭りで、火伏せ、火除けを祈願。
「広河原の松上げ」 kono1.jp過去ブログ
http://kono1.jp/festival/festival6693
お水取り&お水送り=小浜市の神宮寺の僧侶が毎年3月2日に、鵜瀬(うのせ)という川にご神水を流し込むのがお水送り。このご神水を奈良の東大寺で井戸から汲み上げるのが、お水取り。
小浜市の「お水送り」 kono1.jp過去ブログ
http://kono1.jp/festival/festival10880
鞍馬の火祭り= 鞍馬の安定のために京都御所におられた神様を鞍馬に勧請したことを祝う火祭り。
「鞍馬の火祭」 kono1.jp過去ブログ
http://kono1.jp/festival/festival5507
これらの他にも、有名な五山の送り火や、嵐山清凉寺の春を告げる「お松明」、奈良春日山の大文字焼きなどの火祭りが多数あります。
松上げ以外は、愛宕信仰との関わりがあるという話は聞いたことがありませんが、この地図を見ていただくと、全く関わりがないとは思えないのです(あくまで、私Takataroの見解です)
愛宕神社とは
戦国時代の武将「直江兼続」のカブト飾りは「愛」の文字が使われています。
この「愛」は、現代で使われるLOVEの意味ではなく、愛宕(アタゴ)信仰の「愛」という説が有力です。
全国にある八幡宮(はちまんぐう)というのは、大分県宇佐市にある宇佐八幡宮が総本宮で、「戦争勝利の神」です。
同じく、愛宕神社(あたごじんじゃ)は、京都市右京区の愛宕山山頂に総本宮がある「戦争勝利の神」でした。
過去形にした理由は、戦国時代はそうであったということです。
平和な江戸時代になってからは、「戦争」がなくなり、代わって「防火あるいは火除け」の神として祀られるようになったのです。
全国の料亭の台所に火廼要事慎(ひのようじん)というお札が貼ってあることが多いのですが、これは愛宕神社に参拝していただいたお札なのです。
では、愛宕(あたご)とは、どういう意味なのでしょうか?
京都市右京区の愛宕山山頂にある愛宕神社総本宮の神職の方に伺ったところ、諸説あるとのことでした。
一つは、現在の京都市左京区あたりに、昔のことですが愛宕(おたぎ)という地名があったという説。
また、アイヌ語の神聖な火あるいは、尊い火という言葉が由来ではないかという説もあるようです。
ここでまた、私Takataroの想像です。
昔々、ある時、小浜に北海道からアイヌの人が船がやってきた。
(海流は逆方向なので、流れ着いたのではなく、わざわざやってきたのだと思います)
そこで、アイヌの船乗りが、何らかの火祭りを行った。
その火祭りが、鯖街道(塩街道)を経て、愛宕信仰になった。
灼熱の8月に、愛宕山に登ってみた
さて、本題の愛宕山登山です。
それは、8月の盆過ぎ。
京都の気温が何と34.7度と発表された日の朝10時、愛宕山登山口の清滝から登り始めました。
登山道は4コーズほどあるのですが、表参道以外は道に迷う危険があるとのことで、表参道を登ることにしました。
1台のカメラと、弁当のおにぎりと、500ミリリットルのペットボトル(お茶)を持って。
標高924メートルですが、歩く距離は約4キロメートルのようです。
登り始めから、急な階段が続き、気持ちがくじけそうになりました。
あまりのハードさに、もうダメだと何ども思いつつ、もう半分の2キロメートルは登っただろうと思ったところに看板がありました。
12/40 つまりまだ4分の1しか登っていない。
途中、所々で京都市街地を見下ろせる場所がありますが、ともかく坂は急でした。
途中で、数人の登山者に追い越されたのですが、その方々から、20/40を過ぎたあたりから、少し平坦なところもあるからと励まされ登り続けたのです。
確かに、20/40の標識から平坦な道となり、一息つけたのです。
27/40 の所で、また急なk石段が現れましたが、いまさら引き返すわけにもいかず。
進み続けると、寺の門というか関所の門のような建造物がありました。
こう以上、しんどかったといくら書いても、愚痴にしか聞こえないと思うので、これくらいにしておきます。
500ミリリットルのお茶も飲み尽くした頃、頂上に到着しました。
下界より気温が10度低いと聞いていましたが、本当にスク風が涼しい。
頂上には、自動販売機がありました、普通のペットボトルが200円でしたが、むちゃくちゃ安いと感じました。
頂上にいた登山家たちに。「火迺要慎」のお札はどこでいただけるのかとお聞きしたところ、皆さん笑いながら、「頑張っても少し上に登ってね」というのです。
見ると、そこにはさらに石段が。
重たい足を引きずりながら、石段を登った先に愛宕神社がありました。
ここから先は、またいつかの機会にします。